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神様の遣い(7)

2018.10.16

神様の遣い(7)


 
早苗さんのお父さんは、家では酒を呑んで怒鳴る、暴れるの、どうしようもない人だったようですが、一歩外に出ると大人しくて、優しくて、親切な割合に評判の良い人だったようです。


ただ、職場では「梲(うだつ)の上がらない」のが面白くなくストレスを溜め込んでいったと思われます。
お父さんの命盤の解説については、またの機会に譲りたいと思います。


※(梲=商家などで隣家との境に設けた防火壁。これを高く華麗に掲げて繁栄のしるしとする[明鏡国語辞典 第二版])


 
前回までの記事


https://ameblo.jp/miya-ritumei/page-2.html


 
 
----- 小学校、唯一の友達の想い出 -----


初めての同級生の誕生日に、ほぼクラスの全員が招待されたのに、早苗は母の一言で参加を諦めなければ成らなくなりました。
参加しない理由も母の言う「参加すれば、お返しに自分の家でも誕生会をやらなきゃならん、そんなことは出来ないよ」
そんな理由では、友達に断れなく別の嘘をついて断った早苗は、その後も苦しい思いを抱えて過ごしていた。
誕生会の後も、クラスでは友達の誕生会のことで暫く盛り上がっていました。そんな時も早苗は話の仲間には入れず、教室の隅っこで独り孤独感を募らせていました。


 
それでも日にちが過ぎると教室は平常時に戻り、早苗の唯一の誕生会の友達ち「美代ちゃん」も、早苗に今までどおりに接してきてくれるようになりました。
 
そんなある日、美代ちゃんは学校が終わって帰りがけに早苗に声をかけてきました。
「早苗ちゃん、今日は何か用事が有るの? もし用事が無かったら、今からあたしの家に寄って行かない?」
早苗は美代ちゃんの誘いに、それまでずっと曇り空だった気持ちが一気に晴れ晴れして軽くなりました。


「うん、行く、行っていいの?」


「うん、じゃあ、このまま一緒にあたしの家に行こう」


「うん」


早苗はスキップ踏みたい気分で、美代ちゃんと手をつないで走り出しました。


 
 
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